子どもの絵本を借りに行った際、何か読みたいな、と思い面白そうな作品を探してこの本を見つけました。
読んだことはなかったけど、妙に惹かれるものがありました。
書籍情報
タイトル:それでも母が大好きです作者:細川貂々
朝日新聞出版
全127ページ
感想
恐らく、作者のように親の言葉で生きにくかったり、親に所有されている、親が干渉しすぎる体験をしたことのある人は少なからずいるのではないかと思います。そういう風に思ったことのある人には、この本は感じるものがあると思います。マンガなので、あまり重い感じはしませんが、よくよく考えて読むと中身は非常に苦しいツライです。読んでいて、何度も頷いてしまいました。
当時のことをこんな風に書き起こして世に出したことはとてもすごい事。自分の過去と向き合って、現実を受け入れ昇華したんですね。
読んでいて真っ先に思ったのは、「何もできなんだから」という親って、真っ向から子どもの存在を否定してるんじゃないかということ。
読んでいて、作者の母親はどうして子どもの心を傷つけることしか言わなかったのか不思議でした。
読んでいくうちに、もしかしたら母親彼女自身が可愛そうな人なのかもしれないと思いました。
理由がなければ、子どもの人格を否定するようなことはしないでしょう。ゆがんだ愛情が間違った形で子どもに注がれれば、気づくまで延々に続くわけですが…
母親は亡くなるまで、それに気づけなかった。気づいていたけど、やめることができなかったのか、やめなかったのか。
どちらにしても、間違った方法で子どもに接していたようです。
間違ったまま、子どもは育てられてその結果、ネガティブな性格に、ネガティブな生き方を選んでしまうようになったのも、読んでいてつらかったです。
私はちょうど子育て世代で、子どもはこれから人格形成の年齢に入っていきます。
親が子供の人生に介入するのはありえない、子どもが相談してきたならまだしも、土足で心の中に入っていくのは(親でなくても)してはいけないことです。
この本を読んでいて、考えさせられました。
他にもあります。
結婚に対する先入観(束縛など)を子どもに植え付ける。そして、自分が結婚したことを後悔しているのを口に出す事。
これはありえないと思います。
この発言に、あることを思い出しました。昔、結婚について職場で話しをしたときのことです。ある女性が結婚を全否定していました。離婚歴があったのも関係していたのかもしれません。
結婚はよくない、料理が面倒などと結婚に対して猛反対をしていました。家事全般て、面倒かもしれませんが独身だろうが既婚だろうが、生活していたらするの当たり前ですよね。(お金がある人なら、家事手伝いの人を雇ったり、家事代行をしてもらったりという選択肢もありますが…話が逸れました、戻します。)
それだけならまだいいのですが、結婚した相手を全否定していたのです。もちろんその人にはお子さんがいたので、子どもの前ではないけれどそれを言ってどうする? と、私は思いました。
結婚相手を選んだのは自分。相手を否定する=相手を選んだ自分を否定する。ではありませんか? そして深く良く考えると子どものことも否定していることになるのではないかとも思いました。
否定するだけの理由があったのでしょうが、もしかしたら彼女自身が結婚に囚われて前に進めないだけのことだったのかもしれません。真相は彼女のみ知る、です。
子どもには、これから将来があります。将来の可能性を潰したり、子どもが苦しんだり生きにくい思いをしないように、親は手を差し伸べるだけでなく時に突き放したり、見守っていかなくてはいけないと思います。
素直に出来れば苦労はないのですが、いかんせん人間には感情があるので、そこは上手く自分でコントロールしないといけません。
最後に、ネガティブを望む望まないの選択ができないまま育てられ、あるときに作者が生きにくい原因に気づいて、そこから自分の人生を自分の足で歩み始めたことが、嬉しかったです。
思うところがある人は、一度手に取ってみてください。共感に包まれます。
それでも母が大好きです [ 細川貂々 ]
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